治療を「頑張らない」

 

よく、「治療に頑張って耐えて、病気を治したい」というフレーズを見聞きします。しかしながら、いくら治療に頑張って耐えたとしても、病気が治るかどうかはわかりません。「患者の頑張り度合い」と「治療の成功確率」はイコールではないのです。治療を受ける患者は、このことをしっかりと認識しておく必要があります。

 

医療の分野に限らず、「頑張る」という言葉が一人歩きしているのが現代です。もちろん、頑張ること自体は悪いことはありません。頑張らなければできないこともたくさんあります。ですが、「頑張ること自体が目的になってしまっている人」も少なくありません。中には、見当違いの頑張りにハマって、「これだけ頑張ったのだから、きっと良い結果を得られるだろう」と思い込んでいる人もいます。

 

そもそも頑張るか頑張らないかというのは大した問題ではありません。頑張ることは「良い結果を出すための必須条件」ではないのです。頑張る or 頑張らないという二択を採用するとどうしても苦しくなってしまいます。これは何事にもいえることですが、「極端な思考」というのは、人生の幅を確実に狭くします。

 

一昔前までは、「無理に頑張らされること」も少なくありませんでした。「堪え忍ぶことこそ美徳」という価値観がまだまだ色濃く残っていた時代においては、頑張らないことは罪だったのです。しかしながら、現代は違います。今では、無理に頑張らされることはほとんどありません。「見当違いの頑張り」を可能な限り排除した上で、「正当性のある頑張り」を粛々とこなすのが現代のスタンダードです。

 

昔も今も、頑張るという言葉をポジティブに捉えている人はたくさんいます。そのような人達をターゲットにした「頑張りビジネス」は枚挙に暇がありません。頑張りを隠れ蓑にして、様々な不都合を隠蔽しようと目論む人は至る所にいます。「頑張りという罠」に捕獲されないようにくれぐれも気をつけましょう。