医療事故の報道について

 

近年、医療事故が世間を騒がせています。これだけ医療事故が露見しやすくなった最大の要因は、インターネットであると言われています。インターネットは、誰しもが自分の考えや主張を自由に書き込めるのが特徴です。それまで発言する機会がなかった一般人にインターネットが普及したことで、様々な不正や事故が発覚しやすくなりました。

 

医療事故と呼ばれるものは、主に2種類に分けられます。「不可抗力で起きたもの」と「人為的なミスで起きたもの」です。前者は、人間の力をどのように駆使しても防ぐことが出来ない「人知を超えた出来事」です。医療事故と呼ばれるもの(呼ばれるべきであるもの)の大半は後者です。

 

人為的なミスで起きた医療事故には、患者側に責任があるものと、医療従事者側に責任があるものがあります。もちろん、全ての医療事故が、「患者側の責任」か「医療従事者側の責任」かに分けられるわけではありません。双方に等しく責任がある場合もあります。

 

現在では、医療事故のニュースが様々なメディアで毎日のように報道されています。また、医療不信や医療訴訟などの暗い話題にも事欠きません。近年ほど、医療に対して「不審な目」を持つ人がいる時代は他にありません。医療事故などのニュースに触れると、暗澹たる気持ちになります。

 

現在治療を受けている人はもちろんのこと、健常人の場合も、「自分も医療事故に遭遇してしまうのではないか」という気持ちを抱く人が多いと思います。医療に対して「厳しい目」を持ち続けることは大事ですが、必要以上に医療に対して警戒するのも問題です。

 

医療事故が起こる可能性をゼロにすることはできませんが、自分の身に医療事故が起こる可能性はかなり低いです。確かに、メディアの報道にも価値はあります。しかしながら、それを鵜呑みにするのは危険です。メディアの報道と一定の距離を保ちながら、自分の尺度で物事を考えることが大切です。

 

また、日本においては、患者が希望すれば、どの医療機関でも治療を受けることが可能です。このような制度を「フリーアクセス」といいます。もちろん、フリーアクセスにも問題点はあります。些細な症状でも病院を受診する「コンビニ受診」が後を絶たないのも、フリーアクセスと国民皆保険制度が大いに関係しています。

 

日本の医療制度は、世界でもトップクラスです。しかしながら、選択肢の幅が広ければ広いほど、弊害も出やすいというのは事実です。日本の高齢者の中には、各病院や各科を「はしご受診」する人も少なくありません。自由というのは多くの場合、様々な不自由も内包しています。

 

どのような基準で病院を選ぶかは、人によって異なります。近年では、様々なメディアで、「○○な病院ランキング」という特集が頻繁に組まれています。もちろん、そのようなランキングを参考にするのも一つの手ですが、「決め手」にするのは危険です。病院ランキングに限らず、メディアで発表されているあらゆるランキングには、様々なバイアス(偏り)がかかっています。

 

病院ランキングなども、「自分の指標」がしっかりしている人ならば、大いに参考になると思います。どのような情報に触れていても、「何らかの気づき」を得ることはできます。様々な情報に積極的に触れて、「自分の尺度」に基づいて取捨選択することが大切です。