医療用麻薬に「天井効果」はない

 

よく、「医療用麻薬は使えば使うほど、効果がなくなる」という言説を見聞きしますが、これは誤りです。医療用麻薬には、天井効果(頭打ち状態)はありません。副作用はもちろんありますが、どれも微々たるものです。医療用麻薬をバランス良く使っていれば、重篤な副作用が起きることはまずありません。

 

医療用麻薬を上手く使うことができれば、がんの痛みに柔軟に対応することができます。そのため、医療用麻薬を使える状態にあるならば、躊躇せずに使うべきです。世の中には、「医療用麻薬を使うと廃人になる」というイメージを持っている人もいますが、そんなことはありません(そもそも廃人の定義が曖昧です)。医療用麻薬を使わずに、がんの痛みに耐えている人の方が廃人になる可能性は高いです。

 

ただ、できれば医療用麻薬を使いたくないという心理は理解できます。いくら医療用であるとはいえ、麻薬を積極的に使いたいと思う人は少数派でしょう。しかしながら、一般的な麻薬と医療用の麻薬は全くの別物です。「麻薬」という言葉は同じでも、その内実は大きく異なります。人も麻薬も、見た目だけでは判断できません。

 

また、「医療用麻薬を早い段階で使うと、後に効果がなくなる」という言説もよく見聞きしますが、これも誤りです。医療用麻薬を早い段階で使っても、後になってその効果が薄れることはありません。実際に使ってみれば、医療用麻薬がどのようなものかがわかります。何事も「百聞は一見にしかず」です。

 

当たり前のことですが、医療用麻薬は「いつまでも同じ量を使い続けるもの」ではありません。がんの痛みがなくなれば、医療用麻薬を使う必要性もなくなります。医療用麻薬は確かに便利ですが、そればかりに頼るのはよくありません。頼ることと依存することは違います。

 

医療用麻薬に限らず、あらゆる薬は「患者がより良く生きること」を目的として作られています。「そんなことはない。自分は薬の副作用で苦しんでいる」という意見もあるかもしれませんが、それは薬自体が合っていないか、副作用を緩和させる方法を行っていないかのどちらかでしょう。

 

そもそも副作用の大半は、患者が医師に訴え出ることによってはじめて顕現します。そのため、「自分はこのような副作用で苦しんでいる」ということを医師にはっきりと伝えなければ、その副作用はなかったことになってしまうのです。いついかなる場合においても、自分を救えるのは自分だけなのです。